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舌小帯短縮症

舌小帯(舌小帯は舌の裏のスジ、ひものこと)

 

1.舌小帯の長さが短いものを舌小帯短縮症という。

舌小帯は生まれたばかりの赤ちゃんでは水かき見たく薄い膜だが、年齢が上がれば角化して太くなっていく。舌小帯は短いと舌先まで入り込むため、舌を前に出したり、上げたりすると吊れて舌先が割れる。(これをハート舌という。)舌小帯は舌の運動を制限するためにあります。

「舌強直症」、「舌癒着症」、「舌小帯癒着症」、「短舌症」とは呼びません。

これが誤解を招いている原因です。

 

2.舌小帯の分類(舌小帯の長さによる分類)

(1) 舌小帯異常Ⅰ型・・・舌小帯が上顎に付かない(キノコ型)

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(2) 舌小帯異常Ⅱ型・・・この長さではハート型になる。

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(3) 舌小帯異常Ⅲ型・・・舌先がくっついているもの(赤ちゃんの多い)

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3.厚生労働省が認める保険診療での病名“舌小帯異常”

手術名は舌小帯形成術

手術コード J027  頬・口唇・舌小帯形成術 560点(5,600円)(歯科)

 K419 頬・口唇・舌小帯形成術 560点(5,600円)(医科)

舌小帯切除は保険診療でできます。

 

4.日本歯科医師会では“舌小帯切断進展術”を推奨している。

この舌小帯切断進展術とは、舌小帯の真ん中をハサミで切るとひし形に傷口は広がり伸びます。それを縫合する手術です。通常23mm伸びます。井出歯科医院では更に舌小帯を一部撤去して、ハサミで上下に伸ばします。

舌小帯切断進展術の術式

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くレーザーは簡単で出血が少ないと言われますが、傷口を焼いた切開のみなので、瘡蓋を作り、癒着してしまうため舌小帯は伸びません。

舌小帯を切って伸ばさなければ手術する意味がありません。

 

5.舌小帯の適応症

舌小帯が短いことが病気のため、短い場合は全て切ります。

母乳やミルクが飲めないから切るとか、ちゃんと飲めているから切らなくていいというものではありません。3歳ぐらいで構音障害(カ行・サ行・タ行・ラ行がちゃんと話せない)だから切るのでもありません。反対咬合になったから切るのではありません。

舌小帯を切るかどうかの判断は、舌小帯の長さが短ければ切るという“視診”だけです。

あくまでも舌小帯が短い病気だから切るのです。

(むし歯だって、穴が開いているから詰めるのであって、自覚症状がないから治療をしなくていいということはありません。)

 

6.舌小帯を切らない場合に出る障害

(1) 赤ちゃんの授乳障害

 赤ちゃんは母乳を飲む時は舌で乳首を口蓋に押し付け、上下の唇で乳房をピッタリつけて赤ちゃんの口の中を真空状態にします。そして舌が蠕動運動して乳首から母乳を喉の奥に送り込んでいます。しかし、生後間もない赤ちゃんは喉頭ができておらず、舌の根元に付いている喉頭蓋(気道と食道の切り替え装置)が機能しないために嚥下ができません。そのため呼吸は鼻から、母乳は口からになります。その際に喉頭蓋という蓋の脇を二股に分かれて母乳やミルクが食道に流れ込み、呼吸は鼻から喉頭蓋の真ん中から気管に空気が入ります。舌小帯が短いと舌の蠕動運動ができないので乳首から母乳が出ないため授乳障害になります。お母さんの乳腺炎はこれが原因です。また母乳の出が良かったり、哺乳瓶の乳首の穴が大きければ授乳障害になりません。そのため「授乳障害が無かったから舌小帯を切らなくていいでしょう?」というお母さんがいますが、舌小帯は授乳障害があって切るのではなく、短いから切るのです。舌小帯が短ければ嚥下運動ができないからです。

(2) よだれ

 離乳食が始まる頃から唾液腺から唾液が分泌されます。しかし、舌小帯が短いと嚥下ができないために唾液は口からでつぃ舞います。これが『よだれ』の正体です。

 

(3) 構音障害

 授乳障害で、小児科に相談に行くと必ず、「舌小帯は伸びる場合がある。3歳ぐらいで『らりるれろ』が言えなかったら専門医で切ってもらってくれ。すぐに切る必要はないので様子を見ましょう。」言われ、何もしてくれません。この時期に舌小帯を切っていれば構音障害になる可能性は低くなります。

構音障害は、カ行→タ行(おかあさん→おたあたん)、サ→シャ、ラ→ダと発音してしまうものです。これが幼稚園、小学校でも治っていなければ「ことばの教室」で訓練します。構音障害は舌小帯が短い、口呼吸で口を開いている、口蓋が深くなる高口蓋が原因です。舌小帯が短いと哺乳できないために口呼吸になっていきます。そのため口蓋が深くなります。更におしゃぶりをしないため鼻呼吸になりません。また、構音障害が出る3歳では乳歯が生え揃っているために術者が噛まれる可能性があります。そのため手術中は開口器を使用しなければなりません。そして手術が終わってから1時間半ぐらい舌は麻酔が効いているため面白がって子供は舌を噛みます。これが咬傷になり舌が腫れてしまいます。

3歳でもずっと構音障害で話していたために舌小帯を切っても構音障害は治りません。『滑舌割り箸』と『タン・スプリント』と『スマイル・スリーパー:Aveo TSD』によるトレーニングになります。

 

(4) 滑舌が悪い

 構音障害と似ていますが、滑舌が悪い原因は舌小帯が短く、いつも舌が下顎の前歯の裏側に引っ付いているためです。『低位舌』が原因です。一種の機能障害です。舌の側面に圧痕が付いているのも特徴です。治療法は構音障害と似ていますが、舌小帯切除後に『スマイル・スリーパー』装着し、その後に『滑舌割り箸』、『タン・スプリント』で治療します。しかし、高口蓋になっている場合があるため側方拡大の矯正治療の可能性もあります。最後に口呼吸のため口輪筋が弱くなっているために『パタカラ』の治療も必要になる場合もあります。これも舌小帯を切っただけでは治りません。

 

(5) 乳歯の反対咬合

 歯並びは「今の子は固い物を食べなくなったから悪くなった。」と言う俗説がありますが、歯並びは実は舌の前に押す力と戻す唇の力で決まるのです。舌小帯が短いと舌はどんどん前に押すのですが、赤ちゃんの時におしゃぶりをしていないため口呼吸になっていると唇の力が無いため、乳歯の前歯が生えてくると下顎の前歯が上顎の前歯より前に出る「反対咬合」になります。治療方法は舌小帯切除後に『ムーシルド』で治療します。

 

(6) アトピー(但し1歳ぐらいまで)

 アトピーは口呼吸のために扁桃腺が腫れて免疫機能がおかしくなるために起こります。岐阜県の飛騨地方では、昔から赤ちゃんの時に舌小帯を切れば治るとされてきました。実際に1歳の赤ちゃんの舌小帯切除を行ってから3か月後治りました。

 

(7) 食べるのが遅い

 舌小帯が短いために食べ物を喉の奥に持って行くことができません。更に舌の根元に付いている喉頭蓋が気管を塞げず、半開きの状態のため誤飲する危険性があります。そして口呼吸のために唇を閉じれず、鼻で息をしていないので嚥下ができません。そのためくちゃくちゃ噛んで液状になるまで噛むため満腹中枢はお腹がすぐにいっぱいになったと錯覚します。それで少食です。歯科検診の時に痩せている子供さんの舌小帯は短い場合が多いです。給食も食べるのが遅いので昼休みが無くなります。

 

(8) 食べるのが早い

 舌小帯が短いと舌が動かないので大きくなっている子供さんがいます。その場合は喉頭蓋と言う蓋が舌の重みで簡単に蓋ができるために噛まないで丸呑みできます。満腹中枢が噛まないためいつまでも満腹にならないために肥満になります。

 

(9) 睡眠時無呼吸症

 仰向けに寝ると舌が気道に沈下して呼吸が止まるのが睡眠時無呼吸しょうです。これは舌小帯が短いために起こる現象です。それで舌小帯切除後に『スマイル・スリーパー』で舌を引っ張り、『タン・スプリント』で舌の本来の位置に戻します。口呼吸の場合が多く、歯並びがV字歯列になって高口蓋になっている場合は側方拡大の矯正が必要です。これが睡眠時無呼吸症の根本治療です。

 

QA

 

Q:舌小帯を切るのはどこでもやっていますか?

A:残念ながら、静岡県富士市の医療法人社団 井出歯科医院しか行っておりません。

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