1月15日のニュースから
U死刑囚 食事中倒れ死亡 。
Tが脳腫瘍摘出に伴う誤嚥性肺炎で死亡。
咽頭は空気が通る「咽頭から気管へ」と食べ物が通る「咽頭から食道へ」のラインが交差しています。
気管を通った食べ物が肺に入り込んで細菌感染すると誤嚥性肺炎になります。(唾液の中に細菌がいるため)
実は、生後6か月まで、この喉頭蓋は直立のまま動きません。
赤ちゃんが息継ぎなしに母乳やミルクを飲み、生後6か月過ぎからはじまる嚥下の準備期間なんです。
赤ちゃんはお母さんの乳房にくらいつき、口の中を真空状態にします。
唇と頬をすぼめて舌が上顎の口蓋で乳首をサンドイッチにして扱いて母乳を出します。
それが喉の奥に流れていき、喉頭蓋の脇を通って食道に流れて行きます。
偶に間違って気道に入るとむせます。
鼻から入った空気は喉頭蓋が蓋をしていないのでそのまま気道に入り呼吸をします。
食道には空気も一緒に入るために必ずゲップをさせるのはそのためです。
それが生後6か月で下顎乳前歯が生えてくると離乳食が始まり、喉頭蓋が動き始めます。
最初は嚥下ができないために「よだれ」や口に入れた離乳食が飲み込めず出してしまいます。
最初は重湯等の固形物で無いもので始めます。
徐々に慣れてきたら固形物にするのですが、ここで問題になるのが「舌小帯短縮症(ぜつしょうたいたんしゅくしょう)」です。
舌小帯短縮症は舌の裏のスジが短いために舌の先端がハート型に割れていたりして舌が十分に動きません。
そのため離乳食も殆ど食べれず、母乳やミルクばかりになる場合が多いです。
更に、生後6か月で下顎乳前歯が生えてくると、その2本の乳前歯を舌が前方に押し始めます。
ここで指しゃぶりやおしゃぶりをして上下の唇を鍛えていないと、生後7か月で上顎乳前歯が生えてきますが、下顎乳前歯が舌で前方に押されているために反対咬合(受け口)にこの時になってしまいます。
これが「低位舌(ていいぜつ)」の始まりです。
(本来、舌は口を閉じている時に口蓋に付いています。これを舌位(ぜつい)といいます。)
舌小帯短縮症で指しゃぶりやおしゃぶりをしている場合は正常咬合になる場合もあります。
但し、下顎乳前歯を舌側から押していると上顎乳前歯が下顎乳前歯を押さえているために下顎乳前歯は内側に倒れてしまい、下顎骨は押されているために「しゃくれ顎」になります。
このまま大人になると口呼吸で口蓋が深くなり、木管楽器と同じ構造になり、舌が下顎前歯の裏側を押して発生すると声帯が良く開き、ハイトーンボイスになります。
今の歌ウマ女子高生や男性ボーカルにハイトーンボイスが多い理由です。
そのため声優も多いです。
それでもいいことばかりではありません。
「構音障害(こうおんしょうがい)・滑舌が悪い」
構音障害は「か・さ・た・ら・だ・」が上手く発音できないこと。
滑舌が悪いは、アナウンサーことばでニュース原稿をとちって読むことです。
どちらも発生する時の舌の位置が下顎前歯裏側にいるためのものです。
発声は、舌が上顎に付いて口を開けてします。
ところが、低位舌は口を開けると発声できないので、口を閉じたまま話します。
その際に、舌があまり動かないのでとちってしまいます。
発声に関しては舌小帯短縮症であれば、舌のトレーニングをして舌を伸ばしたり、手術して伸ばせますが、術後のトレーニングと舌を口蓋に付けるトレーニングが必要です。
ハイトーンボイスやカンツォーネをやりたい人は無理に勧めません。
但し、嚥下はダメです。
嚥下は
(1)認知期: 口の中に取り込むまで
(2)準備期:咀嚼・食塊が形成される
(3)口腔期: 食塊を咽頭に送り込む
(4)咽頭期: 食塊を咽頭から食道へ
(5)食道期: 食塊を胃へ
(4)と(5)が嚥下です。
食べ物が詰まるということは「嚥下(えんげ)」が出来ていないことを指します。
Uの顔写真を見ると、舌が下顎前歯の裏側にいる写真が多いです。
Tさんもしゃくれ顎っぽいです。
これは舌が下顎前歯裏側に付いている「低位舌(ていいぜつ)」という状態です。
この状態が長く続いていた場合、嚥下運動が正常に働いていません。
人が嚥下をする場合は口腔・咽頭(いんとう)・食道へとお口に入った食べ物が咀嚼されて飲み込まれるまでの工程をいいます。
(1)まず目で食べる物を見て、過去の記憶をフィードバックして唇に伝えます。
(2)大きかったら箸やスプーンで調整し、前歯の裏側の口蓋歯肉に舌で温度や固さをみます。
熱ければ息を吸い込み冷まし、やわらかい物だったら舌で潰します。
固かった場合は、奥歯に落とし奥歯で噛みます。
噛まれた食物は頬と舌側に潰され、頬と舌がもう一度奥歯の上に戻して噛ませます。
次に舌が反対側に食物を移動させ、もう一度噛みます。
これを2~3回唾液と混ぜることによって、粘り気が出てきて舌がくるっと食塊(しょくかい)にします。
(3)食塊を咽頭に送り込みます。
咽頭のまえの口蓋垂(こうがいすい:のどちんこ)の前の空間は口腔と呼ばれ、ドロドロになった食塊を残らず咽頭に送るには空間をゼロにします。
そのために唇と頬をキュッとすぼめて舌先を前歯の裏側につけて、舌の真ん中を口蓋にピタッと密着させます。
すると食塊は咽頭に移動します。
(5)飲み込みが始まります。
喉の奥の軟口蓋が鼻から来る空気を遮断し、喉頭蓋が気管を塞ぐと内部の気圧が上がり、閉じていた食道が開き流れ込みます。
0.5秒です。
次の瞬間、エンジンと同じく排気がはじまり、食道が閉じ、喉頭蓋が気道を開け、軟口蓋が鼻から呼気を出します。
つまりこれを繰り返すのが食事です。
途中で休んだり、話したりすればエンストを起こしてしまいます。
誤嚥
喉頭蓋の閉鎖が食べ物の通過とタイミングが合わないと起きます。
食べ物と唾液の混ざったドロドロになった食塊が気管に流れ込むのです。
誤嚥の予兆
喉頭蓋だけでなく、気管の上部に声帯があります。
声帯は筋肉のひだで、食べ物を飲み込む時に閉じてくれて、気管に食塊が落ちないセーフティネットがあるのです。
更に、声帯で止まらずに気管支に入った場合は、脳から咳き込んで遺物を吐き出すように働く「むせ」があります。
それでもダメな場合は誤嚥性肺炎になります。
誤嚥性肺炎や窒息死しないようにするには、嚥下は不随意運動で自分では調節できません。
高齢になれば喉頭蓋反射は鈍くなります。
そのため、舌を伸ばす舌トレーナーやアヴェオTSDや10秒間で5回唾をのみこむ練習を毎日欠かさずやる必要があります。
誤嚥性肺炎が嫌でしたら「胃瘻(いろう)」になります。
おまけ
2010年の蒟蒻畑事件。
当時、1歳9か月の子供に蒟蒻畑を冷蔵庫で冷やして食べさせたところ、固くなっていて喉につまらせ窒息死した。
被害者側はPL法でマンナンライフを訴えたが、敗訴。
小さいお子さんやお年寄りには注意勧告のイラストがあった。
小さくして食べさせるべきだったらしい。
そのためマンナンライフはクラッシュゼリーに変更した。
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